もっとくわしい三幕構成の話
この記事は klis Advent Calendar 2015 21日目 の記事です。
お前は誰だ
まず、簡単に自己紹介します。
- enoughと申します。klis14、2年生です。
- 人生の大半を沖縄で過ごしました、ゆえに寒さに弱い。極端に弱い。
- 一応映像マンです。最近はブライダルの映像を作って生計を立てています。映像制作のお手伝いが必要でしたら是非に。
- 高校で映画を作っていました。
そんなわけで
映画の話をします。
映画?klisと関係あるの?と思った方もいらっしゃると思いますが、関係あるんです。
といいますのも、klisの専門科目として「映像メディア論」という講義が開設されています。
担当のNew tj先生が着任されたのが今年度なので、今年度からの講義なのかもしれません。
この講義で取り扱う内容の中に三幕構成というものがあります。これについて、もっとくわしく紹介してみようと思います。
三幕構成とは
三幕構成とは、映画のシナリオのおける一つの「型」といえます。
wikipedia先生[1]によれば、
三幕構成(さんまくこうせい、Three-act structure)は、脚本の構成である。三幕構成では、ストーリーは3つの幕 (部分) に分かれる。それぞれの幕は設定 (Set-up)、対立 (Confrontation)[3]、解決 (Resolution) の役割を持つ[4]。3つの幕の比は1:2:1である[5]。
とのことです。というか、wikipediaにたいていのことは書かれちゃっていますね。話すことがないな?...めげずに行きます。
(ちなみに、現在の商業映画、特にハリウッド映画だと十中八九この型を使っているそうです。)
流れ
先述したように、そしてその名の通り、三幕構成では物語が三幕に分かれます。
加えて、幕間にターニングポイント(プロットポイント)、第二幕の真ん中にミッドポイントというものがあり、これによって第二幕は前後半に分かれます。これについて、細かく説明していきます。
第一幕(設定)
まずは観客に物語の設定を提示するところから始めます。主人公はどんな人間なのか?時代設定はいつなのか?舞台はどこなのか?ファンタジーなのか現実なのか?そういった、物語の前提となる事項を説明しておく役割があります。
加えて、ここでセントラルクエスチョンが提示されます。課題が設定されるわけです。ラブストーリーなら「主人公は意中のあの子と幸せになれるのか?」、ヒーローものであれば「主人公は悪を倒して平和を守れるのか?」、ミステリであれば「殺人鬼の正体は誰なのか?」ということです。これは物語の終着点への問いであり、物語の動機、主人公の動機、そして観客が映画を見続けるための動機となるものです。
ターニングポイント①
ターニングポイントとは何ぞや?それすなわち、物語が前進するきっかけとなる事件やら出来事やらのことです。第一幕で状況の説明がなされました。セントラルクエスチョンも提示されました。しかし、何かしらのきっかけがなければ、物語は進みません。映画は2時間しかありません。そんなわけでここいらでいい感じに主人公の行動を起こしてやる必要があるわけですね。具体的には、「じっちゃんの名に懸けて!」だったり、「こんにちは、私はベイマックス」だったりします。
第二幕(対立)-前半
物語の本体となるところです。ターニングポイント①で動き出した物語は、いけいけどんどんGOGOGOという感じで主人公に都合よく進みます。あらゆる困難は一瞬で粉砕され、主人公は常にスター状態です。ここは観客へのサービスシーンでもあります。クールに!キュートに!ファンタジックに!物語が進んでいきます。ヒアウィーゴォ~って感じです。
ミッドポイント
第二幕前半でいい感じに進んできた主人公ですが、人生そうは問屋が卸しません。いいことがあれば悪いことがあるものです。物語のちょうど真ん中であるミッドポイントでは、主人公を挫折させる出来事が起こります。マトリックスで「君は救世主ではない」と言われちゃったり、タイタニックが氷山にぶつかっちゃったりするシーンがここです。
第二幕(対立)-後半
ミッドポイントで挫折した主人公はそのままどんどん負の連鎖に陥っていきます。ひたすら負け続けボロボロになり、第二幕前半の勢いは見る影もありません。これ以外に役割は特にありません。こんなところも含めてひたすらに主人公に厳しい、それが第二幕後半です。
ターニングポイント②
ターニングポイント①と同様、物語を前進させるきっかけとなるポイントです。第二幕後半でボロボロになった主人公、このままでいいのかと葛藤します。葛藤こそが物語です。苦しみ、葛藤し、そしてとうとう主人公は立ち上がります。成長です。再び瞳に闘志を燃やし始める主人公、いいですね。さて、こんな感じで主人公から逆転ののろしが上がったところで、第三幕(解決)へと移っていきます。ネタバレの重みが前半とはケタ違いなので例示はやめておきます。
第三幕(解決)
さて、いよいよ物語もクライマックスです。もちろんアッサリと解決には至りません。主人公にとっても最も過酷な試練が降りかかります。最強の敵であったり絶体絶命な状況であったり様々です。ですが、ターニングポイント②で成長した主人公はこれを辛くも乗り越えます。セントラルクエスチョンがここでようやく解決するわけです。そしてそのままエンディングへと突入し、物語は終わりを迎えます。
まとめると...
ここまでの話を総括すると、結局のところ映画というのは、
- 第一幕でスルっと話が進み
- ターニングポイント①でガっと話が加速し
- 第二幕前半はイケイケドンドンGOGOGOで急上昇
- ミッドポイントで挫折しガクンと話が下向きに
- 第二幕後半は踏んだりけったりで急降下
- ターニングポイント②で再びガッと話が加速し
- 第三幕で上昇しきってエンディング
となるわけです。で、名作と呼ばれる映画はこのガッだったりGOGOGOだったりガクンだったりがはっきり明確に示されていることが多いです。要するに物語にメリハリがあるんですね。
終わりに
テストが終われば冬休みです。コタツでミカンを食べながら映画を観るってのオツなのではないでしょうか。その際、三幕構成を意識して観るとちょっと楽しくなるかもしれません。いつもとちょっと違う映画の楽しみ方、いかがでしょうか。
そんなわけで、明日はプルさわ(@oscillograph )さんです。お楽しみに。
参照文献
[1]