ビブリオバトルで紹介しなかった本の供養
これは klis Advent Calendar 2021 11日目の記事です.
klis14,slis18,今はD2のenoughです.
ビブリオバトルに出た
ビブリオバトルってご存知でしょうか?知らない人はリンク先を見てください.
要は書評プレゼンバトルです.
出場にあたっては,いくつか候補本を選出しプレゼンを作ってみて,最終的に一番良さそうなもので発表しました.それはそう.
ただ,ボツにした本も一応プレゼンは作ったし,そもそも人にオススメしたいという観点で選んでるです.供養してあげたいじゃないすか.
よって,今日はビブリオバトルで候補に挙がったけど結局発表しなかったボツ本を2冊紹介します.読んでくれ.
1冊目『映画大好きポンポさん』
2017年にpixivにオリジナルマンガとして投稿され,書籍化・アニメ映画化というビッグメディアミックスを成し遂げた作品,ご存じの方もいるかもですね.
あらすじは映画のHPから引用します.
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。[1]
とまぁ,こういうストーリーです.シンプルながらココロを打つものがあります.グッとくるセリフもたくさん!面白いよ!
が,今回はキャラ紹介に焦点を当てます.キャラクターじゃなくキャラ紹介.
この本,「キャラ紹介」がユニークなんです.
例えば,タイトルにもある敏腕映画プロデューサーのポンポさん.彼女のキャラ紹介がこちら[2].
好きな映画!!!!!!!!!
良くない?映画制作を題材にしたマンガでこれ以上ないキャラの紹介じゃない?
知ってる映画だったら「こういうのが好きなキャラなのか〜」とか「ポンポさん好きそう〜」ってなるし,知らない映画ならその映画を見てみるきっかけにもなるんですよ.予告編チラ見してからもう一回読むだけでもだいぶ楽しい.
このラインナップだと,フランケンウィニーはディズニー映画で知ってる人も多いんじゃないすかね.実は1984年にも作られてて,ディズニー(2012年)はリメイク版らしい.ポンポさんが好きなのはどっちだろ.......キャラ理解が深まって楽しい.
で,この映画紹介が主要キャラ全員に付いてます.
世界を代表する名優マーティン・ブラドックのキャラ紹介がこちら[3].
ゴッドファーザー好きそう〜〜〜〜〜!!!なんなら出てそう〜〜〜!!!
ゴッドファーザー見たことない?画像検索でいいから見てくれ.検索しときました[4].
ね???出てそうだし好きそうじゃん???
ゴッドファーザー好きってところでちょっとキャラ分かった気しません?みなさんキャラ名と絵と映画3本しか与えられてないのにですよ.
こうやって,本を読んでは映画を観て,また本を読んでと何度も楽しめる仕掛けの『映画大好きポンポさん』,オススメです.ぜひ読んでみてください.
2冊目『何度も読みたい広告コピー』
広告のボディコピーって意識して読んだことありますか?広告のキャッチコピーより小さい文字で少し多めに書かれているアレです.
キャッチコピーだったら印象に残っているものがいくつもあると思うんです,「そうだ、京都行こう」とか「選ばれたのは綾鷹でした」とか.
ただ,それらと一緒に書かれているのボディコピーまでちゃんと読んだ,覚えてるぞって人は多分少数派だろうと思います.根拠はないが.......
『何度も読みたい広告コピー』はボディコピーに焦点を当てた本です.広告業界で名コピーと呼ばれるものを100以上集めています.
で,この名作ボディコピーってのがマジでいいのよ.
何がいいってまず,文字通り一字一句洗練された言葉が良い.読んでいて気持ちがいいんですよね.するすると頭に入ってきます.情景がさっと頭に浮かぶ.詩とか短歌を読んでるときのそれに近い感覚がある気がします.
また,内容もガッツリ爪痕残します.するんと入ってくるクセに全然心から出てってくれない.何度も何度も読みたくなる.小説の書き出しみたいなワクワク感とショートショートのキレの良さが同時に存在してるんですよね.シンプルに読み物として面白いです.広告の内容自体,企業メッセージを全面に押し出したものから,ストーリー仕立てに商品紹介するものまで多種多様ですし,似たようなものってのがないのもいいですね.
ここまではボディコピーって面白いよって話です.
ここから,この本ならではの面白さを2つ紹介しておきます.
1つ目が,コピーを書いたライターのコメントが載っていること.
どういうことを考えながら,何を意識しながらコピーを書いたのかってのが全てのコピーについてきます.こういう裏話やメイキングを知ると,また一つ読み方が変わる気がします.
2つ目がポスターがまるごと載っていること.
キャッチコピーだけを集めた広告本とかって結構多いんですが,この本はなんとキャッチコピー,ボディコピー,グラフィックまで全部まるごと載ってるんです.
よく作ったな,こんな本!すげえや!
コピーだけ読むのとポスターに構成された状態で読むのでは当然ですが,全然イメージが違います.面白いよ.
普段あまり意識しないボディコピー,実は読み物としてすごい面白いんです.しかも本書はライターのコメントとグラフィックまでついてて,名作コピーをまるごと味わうことができます.『何度も読みたい広告コピー』,ぜひ何度も読んでください.
おわりに
ビブリオバトルへの参加は、単に本を人に紹介するというだけではなく、それらの「何が面白いのか」「なにが魅力なのか」を考えることになります。これは、自分の好きな本の魅力を再発見する機会ともなります。お得ですね。みなさんも是非ビブリオバトルに参加してください。ビブリオバトルだと一冊しか紹介できないので、ボツにした本は klis Advent Calendar で紹介するとより良いでしょう。
来年のビブリオバトルとklis Advent Calendarを楽しみにしています。
参照文献
[1] https://pompo-the-cinephile.com/#story
[2] https://comic.pixiv.net/viewer/stories/26743
[3] https://comic.pixiv.net/viewer/stories/28206